トップ
院長のひとりごと
イナバウアー
院長のひとりごと

イナバウアー

自由・・ で有名になったプッチーニのオペラ「トゥーランドット」のアリア「誰も寝てはならぬ」を先日フィレンツェ歌劇団の公演で聞いた。年に数回オペラに行くことがあるが、この時は本当に心から熱い物がこみ上げてきた。音楽を聴いて、心にしみいるような気持ちを味わうことはなかなか無いが、こんな気持ちになれる自分はまだまだ捨てた物ではないなと思った。この年になると、物事に感激したり、感動したりする機会はあまり無い。そういった感情もすり切れて来てしまっているのだと思う。寂しいことではあるが・・・・。 仕事・仕事で毎日神経をすり減らして素晴らしい音楽や絵画、口演などを聞いても感情の昂ぶりがみられない。私も含めそんな人が結構私の周りには大勢いると思う。しかし、人が人生を生きていく上で大切なものはそういった感情的な部分ではないであろうか?仕事の上で色々な決断を迫られることは多々あるが、そういった時は合理的に、かつ情緒的な部分は排して行われる。私のような開業医は、多くの人と接して話をしながらその人の気持ちを汲み取りながら仕事をしている。大きな企業の営業や企画などの仕事をしている人たちとは違い、まだ「人」に接して、気持ちを汲みながら仕事をしている分、感情的・情緒的な部分が仕事に入ってくることが多いと思う。それでも年を取ってくるとその気持ちも薄れがちになる。 私にとってそれを補完するのが良い音楽、おいしい料理とワイン、美しい自然に接する事である。トゥーランドットに行く数日前も、サントリーホールで内田光子のピアノを聞く予定があったが、ここ何年も経験したことがないような胃の痛みに襲われて当日になってキャンセルをした経緯がある。そんな事もあった為かこの日は余計に感動したのかもしれない。渋谷のNHKホールでの公演であったので帰りは東急本店近くの「Chinois」というワインレストランで軽く食事をして帰宅した。オペラの余韻を楽しみながらおいしいワインを少しだけ頂いて・・・。とても幸せな気分の一日でした。