院長のひとりごと

読書

以前にもお話ししたことがあるが月に一度Polycultureという会に参加している。日頃お目にかかる事の多い医療関係の人たちとは違う活動をされている人たちなので影響を受けることは沢山あり、結構楽しみに出席している。 今年に入って教わった面白そうなことにマインドマップという物がある。ある時私の前に座っていた人が面白いノートの取り方でメモを取っていた。箇条書きでもなく真っ白なノートの中心から言葉を書き始め、丸で囲ってまるで樹木が枝を伸ばすような書き方でメモを取っていた。「面白いメモの取り方ですね」と尋ねたところマインドマップという方法だと教えてくれた。その人の会社ではその方法が広がり、会議の時やプレゼンテーションもその方法で行われているとのことであった。私は早速本屋でマインドマップの本を買い込んでトライしてみた。簡単に言うと、箇条書きでは頭に残らないものを、聞き手の発想でどんどんと枝を広げランクをつけて伸ばしていく方法だ。物になるかはともかく結構面白い物のとらえ方であると思った。 読書に関しても結構刺激を受けることが多い。私とは普段はあまり目を向けることのない視点で物を見ているのでしょう。私ではまずは目に止まらない書物を紹介してもらうことが多い。最近読んだ中では、「快楽(けらく)」という女性の更年期の話である。婦人公論に連載されていた内容を本にまとめた物で、工藤美代子氏が色々な人にインタビューをし、女性の更年期の性にスポットを当てて書かれている。結構ストレートな話題が沢山盛り込まれており、納得する所や感心する所、結構面白く一気に読んでしまった。女性から見た熟年期の性の話であるので男性としても参考になることは多い。もう一つは「アースダイバー」中沢新一著である。最近多く見かける散歩の楽しみ方が書かれた本は昭和初期、明治・大正の地図を元にしながら東京の町を散歩するものが結構見受けられるが、この本はなんと縄文時代まで遡ってしまう。縄文時代は氷河期が終わって温暖化が進み、海面が上昇した時期に当たり、海面は今より遙かに上昇していた。現在の東京の山の手近くまで海が入り込んで、リアス式海岸のように入江が入りくんでいたらしい。その地図を作り出し、その上にある現在の町との関係を彼なりに分析、表している。洪積層(乾いた土地)と海であった沖積層(湿った土地)とその上にある東京の町とを宗教学や人類学などの話から面白く引きずり込んでくれる。ぜひ読まれる事お勧めです。 読書とは関係ないがPolycultureで懇意になった人たちと例会以外で交流を深めることもある。六本木ヒルズにある外資系証券会社に勤める人と偶然我が家近くの商店街で出会った。早速おいしい店の情報交換となり、後日何人かの仲間と学芸大学で一献となった。おいいしい物好き、蕎麦好きが集まり、素敵なmadameを交えて4人で酒宴となった。話題はいろいろで本の話もでるがフランス語関係の話題が多くなる。昨年は実家でフランス人の学生を短期間であるが預かった。HECというgrandes ecoles(大学ではなく特殊な専門学校で、専門職になる為のエリート教育の場)の一つのビジネススクールの女子学生であった。そのときも拙い私のフランス語ではあまり役に立たず(もっとも、彼女はエリートなので英語も堪能ではあったが)、Polycultureの仲間の手助けを請うた。そのお陰で東京の下町、近郊を無事案内することが出来た。 読書から話がずれてしまったが色々と人のつながりができ次第に人の輪が広がっていくことは、私ぐらいの年代にとってはとても貴重で楽しいことであると思う。ゴルフなどスポーツも楽しいと思うが、身近なところで囲碁、俳句、楽器などなど文化的なサークル、集まりなどに顔を出して、人間関係を広げてみては如何だろうか・・。患者さんから本の紹介を受けることもあるが、面白そうな本が有ればご紹介して頂きたい。